9/11/2015

もうひとつの "Think Different"

この動画は、かの有名な「Think Different」のCMだが、実際にオンエアされたものではない。 アイザックソンの「スティーブ・ジョブズ」では、第24章で詳しく説明している。

  • このCMは、アメリオが辞任した後、1997年にジョブズから「1984」を制作したリー・クロウに依頼された
  • 「テーマはプロセッサーのスピードやメモリーではなく、創造性だった」
  • ジョブズはクロウに、「アップルの人間も、アップルとはなにか、自分たちはどういう人間なのかがわからなくなっていた。それを思い出すきっかけには、誰が自分にとってヒーローなのかを考えて見るといい」と語った
  • 「彼らは人間を前進させた」など一部はジョブズが書いている
  • 実際に使われたCMは、リチャード・ドレイファスがナレーションをしているが、その他にジョブズ自身がナレーションをつけたバージョンも作られていた
  • オンエアの当日までどちらを使うか決まらず、両方のバージョンが出荷され、最終的にはドレイファスのものが使われた

アイザックソンは、このCMについてジョブズに取材したときのエピソードを書き残している。 ジョブズは、リーが深くアップルを愛していることがわかったと言い、「シンクディファレント」の素晴らしさに込み上げるものがあり、このCMのことを思い出すと泣いてしまう、と語った。 (アイザックソンがその話を聞いたときにも、「ジョブズは肩を震わせ、涙を浮かべた」とある)

ナレーションの内容に興味がある方に、DNAの記事を紹介する。

本ブログでは、アイザックソンの「スティーブ・ジョブズ」を多く参照しているが、日本訳を出版している講談社が、この本のためのリンクを用意していることをご存じだろうか。

上のリンク先ページの下部では、読者に限定せず一般に公開の形で、いくつかのPDFを配信している。その中に日本語版書籍に含まれていなかった「終章」がある。 アップルキャンパスで行われたアップル社によるジョブズの追悼式で、ジョブズ自身がナレーションを行った"Think Different"が流され、その説明で終章が終わっている。 特定の書籍のためにページを設け、終章などの文書をひっそりと配信することに、ジョブズに対する敬意を感じる。このページから書籍も購入できるが、ペーパーバック版も存在していたことは初めて知った。

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