10/01/2015

「アップル薄氷の500日」を読んだ

「アップル薄氷の500日」を読んだ。この本は、ギル・アメリオがアップルのCEOを勤めていた500日の出来事を書いたもので、アメリオがCEOに就任した経緯から始まり、最後は取締役会から退任を告げられたところで終わる。 この本には、アップルの身売り交渉の詳細について書かれていて、当時のアップルの苦境がよくわかる。「復活」後のアップルしか知らない若い世代にはとても信じられないだろうけれど、アップルは資金がショートし、本当に倒産寸前だったのだ。他にもわかることがある。アメリオは、あまりに普通の人、というか普通の経営者だ。彼は、自らジョブズを招きいれることを受け入れ、そして結果的にはそれにより自分がCEOの席を奪われ、無能なCEOとして歴史に名を残してしまった。これはスカリーにもあてはまる。アメリオは自分でも書いているが、アップルに関わらなければ(あるいはジョブズを招き入れなければ)、ナショナルセミコンダクト社を復活させた輝かしいキャリアに傷をつけることはなかっただろう。それにしても、書籍の中で、CEO就任時や去るときの条件について詳しく書いているのは痛い。

上の動画は、Macworld 1997で、アメリオが「復活」したジョブズを紹介する場面から始まる。アメリオの普通さ「普通の人でない」ジョブズの違いが、歴然と現れている。紹介して現れたジョブズは、最初当惑している。こんなジョブズは珍しい。しかし、話を始めると人が変わる。本当に何かがおりてきているかのようだ。気の毒なアメリオは舞台に取り残されてそれを見ている

「アップル薄氷の500日」の中でアメリオはとても興味深いことを書いている。

自分にこんな高額報酬の価値があると、私は信じていたのか?いまも信じているのか?その点を説明しておこう。

企業のCEOが受け取る金銭報酬は、有名スポーツ選手や全国ネットワークTV局の司会者が受け取る報酬に似ている。そのポストにふさわしい数少ない候補者のなかから誰かを登用しなければいけないから、いくら出せば本人がやる気になるかが基準だ。マーケティング担当の責任者や営業担当の責任者がもらう報酬と比較して、いや、イギリスやフランスやドイツのCEOがもらう報酬と比較してさえ、ルー・ガイスナー(IBM会長)、マイケル・アイスナー(ウォルト・ディズニー会長)、スティーブ・ロス(タイム・ワーナー元会長)のような人物がもらっている報酬は、あまりにも高額だ。これほどの額に値するCEOなど、本当はどこにもいないと思う。マイケル・ジョーダン(プロ・バスケットボール選手)やダン・ラザー(TVキャスター)の報酬額にも同じことがいえるだろう。しかし、競争がきわめて激しい市場分野では、企業も、スポーツ・チームもテレビ局も、有能な人材を引き寄せるためなら法外な金を惜しまない。競争が、途方もない金額を生み出す。それが現実だ。自由経済を支える、需要と供給のバランスなのだ。同じぐらい懸命に働いているほかの人たちに不公平ではないか?そう不公平だ。では、おくいう状態は、近い将来、変わるだろうか?いいや、変わらない。

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