8/28/2015

ジョブズのこだわり (2)

Macintoshのプリント基板

これは有名なエピソードで、いろいろなところに書かれているが、「レボリューション・イン・ザ・バレー」から紹介する。

バレルは、プロジェクトのミーティングで、実際の大きさの4倍に拡大したプリント基板のパターンを紹介した。 ジョブズはそれに「純粋に美学的な見地」から、レイアウトを批評する。

「そこの部分は本当に美しい」と、彼は褒め称えた。「しかしメモリチップを見てみろ。そこは見苦しいな。ラインがくっつきすぎている。」

George Crowという雇われて間もないエンジニアが、ジョブズに言った。「プリント基板がどう見えるかなんて、誰が気にするんですか?大事なのは、どれだけうまく動作するってことでしょう。誰もプリント基板なんて見やしませんよ。

ジョブズは強い調子で反論する。

「俺が見るんだよ!俺は、たとえ箱の中に入っているものでも、可能なかぎり美しくあって欲しいんだ。優れた大工はキャビネットの裏に使うからといって、質の悪い木を選んだりしないものさ。そんなこと、誰も見なくてもな。」

Georgeとジョブズが言い合いを始めるが、バレルが提案する。

「ええと、そこんとこはメモリバスのせいでレイアウトが難しいんです」「もしそこを変えちゃうと、電気的にちゃんと動かなくなるかもしれません」。

ジョブズは、バレルの言葉を受け、「もっと基板が美しく見えるレイアウトを試してみて、それがうまく動かなかったら、元のレイアウトに戻す」ことになる。 そうして、何枚かの基板が作られたが、バレルの言ったように新しい基板は動作しなかった(もちろん、バレルは最初からそのことがわかっていたのだろう)。 そして、基板は結局元の設計に戻される。 これは、Macintoshの基板の話だが、初期のMacintoshは専用の工具がないと開けられないようになっていた。ジョブズは専用の工具を作ってまで、開けられたくなかった筐体の中の基板のパターンの美しさにこだわり、開発チームのサインを封印していた。

電卓のデザイン

これも「レボリューション・イン・ザ・バレー」に掲載されていたエピソード。

Macintoshは一度にひとつのアプリケーションしか実行できない、シングルタスクの仕様だった(なにしろメモリは128KBだったのだから当然だ)。 Macintoshには、デスクアクセサリーと呼ばれる特別なプログラムがあって、その中に電卓が含まれていた。 その設計を担当していたChris Espinosaはジョブズに電卓を見せるたびにけちをつけられ、ある日妙案を思いつく。 Chrisは、新しい電卓を作ることを繰り返す代わりに、「Steve Jobsの自分でできる電卓組み立てセット」アプリケーションを作り、それをジョブズに提供した。 そのアプリケーションを使うとプロダウンメニューで、線の太さ、ボタンの大きさなど電卓のあらゆる属性を変更できる。 ジョブズはそのアプリケーションで試行錯誤を繰り返し、Chrisはそのデザインを取り込み電卓を開発した。

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